変圧器の並行運転の一部の条件として
各変圧器の極性が一致していること
各変圧器の変圧比が等しいこと
があります。
理由としては循環電流が両巻線に流れるため、損失が増大し巻線が焼損すると参考書などには書いてあります。
しかし、この証明については参考書にはあまりないように思えます。
今回はこの条件を回路を使って証明していきます。
それでは、いってみましょう。
変圧器の並行運転とは?
参考書などに記載されているため、簡単に説明します。
負荷が増加し、1台の変圧器の容量を超えたときに、複数台の変圧器を並行に接続して運転させることを変圧器の並行運転と読んでいます。
回路を使って考える
図のような回路を作りました。
E1[V]:電源電圧、na,nb:変圧器A,Bの巻数比、Za,Zb[Ω]:変圧器A,Bのインピーダンス
IL[A]:負荷に流れる電流、Ia,Ib[A]:変圧器A,Bに流れる電流、L:負荷
さっそく、回路方程式を作っていきましょう。
E1/na-ZaIa=E1/nb-ZbIb・・・①
Ia+Ib=IL・・・②
これをIa,Ibについて解くと、
Ia=ZbIL/(Za+Zb)+E(1/na-1/nb)/(Za+Zb)・・・③
Ib=ZaIL/(Za+Zb)-E(1/na-1/nb)/(Za+Zb)・・・④
赤字に注目してください。
Iaに対しては+方向、Ibに対しては-方向であり大きさが同じ電流、、これが循環電流です。
循環電流は図のように流れます。
Ic=E(1/na-1/nb)/(Za+Zb)・・・⑤
さて、それでは条件の話に戻します。
各変圧器の極性が一致していること
極性が一致していないと、⑤式は
Ic=E(1/na+1/nb)/(Za+Zb)
または
Ic=–E(1/na+1/nb)/(Za+Zb)
となり循環電流がより流れてしまいます。
循環電流が流れないようにするために、各変圧器の極性を一致させる必要があります。
各変圧器の変圧比が等しいこと
⑤式の循環電流を0にするためには、
(1/na-1/nb)=0
na=nbとなり、各変圧器の変圧比が等しければ、循環電流が流れなくなります。
それ以外の並行運転の条件
他にも
各変圧器のインピーダンスが定格容量に比例していること
各変圧器の抵抗とリアクタンスの比が等しい
がありますが、これらについては参考書などで記載されているため、説明を省略します。
本日はここまでです、毎度ありがとうございました。