ダイオード編が終わったので今回からサイリスタ編にはいります。
取り扱う回路は単相半波整流回路です。
ここでのポイントは負荷に加わる電圧、電流に着目します。
それでは、いってみましょう。
サイリスタとは
参考書にも書いてあるので、簡単に説明します。
サイリスタの記号です。

ポイントは
順バイアスがかかっている状態でゲートから信号が入ったらサイリスタがonする。
電流はアノードからカソードの方向に流れる。(ダイオードと同じです)
サイリスタがonしている状態でゲートの信号をoffしてもサイリスタはonのままです。
サイリスタをon⇒offするためには、サイリスタに流れている電流が0にならなければならない。
こんな感じです。これは参考書にも書いてあることです。
しかし、実際回路を目の前にするとわけがわからなくなるのは私だけではないと思います。
ダイオード時と同様にサイリスタについても回路を使いながら、電流、電圧波形を書いていきます。
単相半波整流回路
回路図はこのようになります。

v[V]:電源の印加電圧,vd[V]:出力電圧,I[A]:電流
電源の印加電圧の波形を示します。

電圧が0以上のときの向きを順電圧の向きとします。
それでは負荷が抵抗負荷の場合と誘導負荷の場合にわけて負荷に加わる電圧、電流についておさえていきます。
負荷が抵抗負荷のとき
サイリスタがない場合の負荷にかかる電圧波形と電流波形はこのようになります。

負荷が抵抗負荷なので電流と電圧の位相は同じです。
この回路にサイリスタをつけます。
ここでサイリスタのゲート信号をいつ入れる必要があるか考えてみましょう。
上の電流波形から0<θ<πの間は順方向に電流が流れています。
この間であればサイリスタに信号を与えればサイリスタがonすることができます。
しかし、π<θ<2πのときは電流が逆方向に流れています。
サイリスタもダイオード同様に一方向にしか電流をながせないので電流がながれません。
このようにサイリスタの信号を入れるタイミング(αとします)は0<α<πの間ということになります。
それではα=π/4としてサイリスタに信号を入れてみましょう。
0<θ<π/4のときは、サイリスタにゲート信号が入っていないため、サイリスタがonしません。
よって、素子に電圧はかかりません。また電流もながれません。
π/4<θ<πのときは、サイリスタがonするため電圧、電流が負荷にかかります。
図にするとこんな感じとなります。

π<θ<2πのときは電源の電流が逆方向になるため、サイリスタがoffになります。
よって、負荷にかかる電圧、電流ともに0になります。
これらの状態を波形に示すとこのようになります。

負荷が誘導負荷のとき
負荷がコイルになります。
ダイオードがない場合の負荷にかかる電圧波形と電流波形はこのようになります。

負荷が誘導負荷なので電流は電圧に対してπ/2位相が遅れます。
この理由についてはこちらから

この回路にサイリスタをつけます。
ここでサイリスタのゲート信号をいつ入れる必要があるか考えてみましょう。
上の電流波形から0<θ<π/2の間は順方向に電圧はかかっていますが、逆方向に電流が流れています。
逆方向に電流が流れているためサイリスタにゲート信号をいれてもサイリスタをonすることはできません。
π/2<θ<πのときは電流、電圧ともに順方向です。
π<θ<3π/2のときは、電流は順方向に流れますが、電圧が逆バイアスになります。
上記のサイリスタであげたポイントより、サイリスタをonすることができません。
3π/2<θ<2πのときは、電圧、電流ともに逆方向のため、サイリスタに信号を与えてもonしません。
これらの結果から、サイリスタに信号を入れるタイミングαはπ/2<α<πということがわかります。
今回はα=3π/4としてサイリスタに信号を入れてみましょう。
0<θ<3π/4のときは、サイリスタにゲート信号が入っていないため、サイリスタがonしません。
よって、負荷に電圧はかかりません。また電流もながれません。
3π/4<θ<πのときは、サイリスタがonするため電圧、電流が負荷にかかります。
図にするとこんな感じとなります。

π<θ<3π/2のときは電源電圧は逆バイアスとなってますが、電流が順方向にながれているためサイリスタはonのままです。
回路図に示すとこのような状態です。

サイリスタがonしているため、電源の逆バイアスがコイルにかかることになります。
3π/2<θ<2πのときは電流が逆方向になるため、サイリスタがoffします。よって負荷にかかる電圧は0,電流も0になります。
これらをまとめると負荷にかかる電圧、電流波形はこのようになります。

しかし、コイルの性質から電流波形は下図のようになります。

このようになる理由についてはこの記事を参照ください。

本日はここまでです、毎度ありがとうございます。