今回は直流機の分巻電動機と直巻電動機の特性の違いについて説明していきます。
それでは、いってみましょう。
分巻電動機
回路図はこのようになっています。
Rf[Ω]:界磁抵抗,Ra[Ω]:電機子抵抗,E(V):誘導起電力,V[V]端子電圧,If[A]:界磁電流,Ia[A]:電機子電流,Φ[Wb]:磁束、n:回転数[s-1]
回転数-負荷電流特性
回路方程式より
V=E+RaIa・・・①
E=kΦn=V-RaIa
k:比例定数その1
n=(V-RaIa)/kΦ・・・②
この式より、負荷電流が大きくなるに従って回転数は小さくなるのですが、負荷電流によって変わるパラメータがもうひとつあります。
それは磁束Φです。
負荷電流(電機子電流)が大きくなると電機子反作用の影響が大きくなります。
電機子反作用の影響が大きくなると減磁作用の影響が大きくなります。
そのため磁束Φが小さくなります。
式②より負荷電流が増えても、電機子反作用の減磁作用の影響により磁束が小さくなるため、回転数はそれほど小さくなりません。
これを図に示すとこのようになります。
図から、分巻電動機の回転数は負荷電流を変えても大きく変化しないことがわかります。
*電機子反作用については、別の記事に書きたいと思います。
トルク-負荷電流特性
次にトルクT[N・m]と負荷電流について考えてみましょう。
T=P/ω=EIa/(2πn)=kΦnIa/(2πn)=kΦIa/2π
ω[rad/s]:角速度
よってT∝ΦIaということがわかります。
負荷電流Iaが小さいときはトルクは比例して大きくなります。
しかし、負荷電流が大きくなると電機子反作用の減磁作用の影響によりΦが小さくなるため、トルクの増加が緩やかになります。
図にするとこのようになります。
直巻電動機
回路図はこのようになっています。
注:今回は簡単のため、界磁抵抗は省略しました。
回転数-負荷電流特性
回路方程式は
V=E+RaIa・・・①
これを計算すると②式と同じようになります。
n=(V-RaIa)/kΦ
Φ∝IfよりΦ=cIf・・・③(c:比例定数その2)
またIf=IaよりΦ=cIa・・・④
②式に④式を代入すると
n=(V-RaIa)/(kcIa)=V/(kcIa)-Ra/kc
この式より、回転数-負荷電流特性は双曲線になることがわかります。
図にするとこんな感じです。
直巻電動機は負荷が軽い(負荷電流が小さい)と回転数がものすごく大きくなることがわかります。
トルク-負荷電流特性
次にトルクT[N・m]と負荷電流Iaについて考えてみましょう。
分巻式と同様に、T=kΦIa/2πになります。
この式に④式を代入すると
T=(kc/2π)Ia^2
よってトルクは負荷電流の2乗に比例することがわかります。
図にするとこんな感じです。
このように分巻電動機と直巻電動機では特性が大きく異なることがわかります。
本日はここまでです、毎度ありがとうございます。