これからは直流電圧(DC)を交流電圧(AC)に変換する方法についていくつか紹介していきたいと思います。
ここら辺についても参考書ではあまり触れられていないように思えます。
第一弾は単相電圧形ハーフブリッジインバータです。
どのようにして交流電圧波形ができるのでしょうか。
それでは、いってみましょう。
単相電圧形ハーフブリッジ形インバータ回路
回路はこのようになります。

Q1,Q2:IGBT素子,D1,D2:ダイオード,vl[V]:出力電圧,Ed/2[V]:電源電圧
IGBTと逆並列にダイオードを入れているのが特徴です。
負荷電圧は矢印の向きをプラスとします。
IGBTはスイッチ素子になります。サイリスタとどこが違うのか説明します。
サイリスタは信号によりonはできますが、offはアノード-カソード電流が0にならないとできませんでした。
つまり、offにするには自分の力ではどうすることもできず、他人の力にまかせるしかありませんでした。
しかし、IGBTは自分の力でスイッチをon/offすることができます。
ここがサイリスタとの一番の相違点です。
出力電圧波形を作ってみる
波形をつくる前に一つ注意点があります。
Q1とQ2の同時onはNG
理由は実際にやってみて確認しましょう。Q1,Q2をonにすると
電源がスイッチで短絡されてしまうことがわかります。
このため回路には大きな短絡電流が流れることになります。
そのためにも、Q1がoffしてからQ2がonするまでの期間をある程度開けておく必要があります。これをデッドタイムとよんでいます。
Q1:on
Q1:onにより、回路のパスはこのようになります。

出力電圧はEd/2となります。コイルには図のようにエネルギーがたまります。
Q1:off
Q1がoffしても負荷のコイルにエネルギーがたまっているため、Q1:on時と同じ方向に電流が流れ続けます。
この電流を回路に流すためにD2を通る必要があります。
回路のパスはこのようになります。

出力電圧は-Ed/2となります。
Q2:on
Q2:onにより、回路のパスはこのようになります。

出力電圧は-Ed/2となります。コイルには図のようにエネルギーがたまります。
Q2:off
Q2がoffしても負荷のコイルにエネルギーがたまっているため、Q2:on時と同じ方向に電流が流れ続けます。
この電流を回路に流すためにD1を通る必要があります。
回路のパスはこのようになります。

出力電圧はEd/2となります。
これらの情報から出力電圧vlにかかる波形はこのようになります。

単相ハーフブリッジ回路により、振幅=Ed/2の方形波を作り出すことができます。
本日はここまでです、毎度ありがとうございます。