電力

電磁誘導障害対策に使っている遮へい線とは?(電力)

ノリユキ
ノリユキ
いらっしゃーい。第3種電気主任技術者(電力)のなぜなぜシリーズはじめまーす

通信線への電磁誘導障害の対策として送電線-通信線間に遮へい線を取り付けるというのがあります。

この遮へい線は導電率が高く、通信線との距離が近いほうが良いと参考書に書かれています。

しかし、その理由については触れられていないように思えます。。

今回はその理由について、式を使って証明したいと思います。

それでは、いってみましょう。

考え方

図のように上から送電線、遮へい線、通信線があります。

個々のパラメータは以下のようになっています。

Ig[A]:地絡電流,Z1s[Ω]:送電線-遮へい線間の相互インピーダンス

Z2s[Ω]:遮へい線-通信線間の相互インピーダンス

Z12[Ω]:送電線-通信線間の相互インピーダンス

Zs[Ω]:遮へい線のインピーダンス

通信線に生じる誘導電圧Vm[V]を求めるために以下のようなステップを踏みます。

①遮へい線がないときの通信線に生じる誘導電圧Vm1を求める

②遮へい線がある場合、遮へい線に生じる誘導電圧Vm2を求める

③遮へい線に流れる電流Isを求める

④遮へい線がある場合の通信線に生じる誘導電圧Vmを求める

それでは①からやってみましょう。

①遮へい線がないときの通信線に生じる誘導電圧Vm1

図のように地絡電流Ig[A],送電線-通信線間の相互インビーダンスがZ12のため、

Vm1=Z12*Ig[V]・・・①

になります。

②遮へい線がある場合、遮へい線に生じる誘導電圧Vm2

図のように送電線-遮へい線間の相互インピーダンスがZ1sのため、Vm2は

Vm2=Z1s*Ig[V]・・・②

になります。

③遮へい線に流れる電流Isを求める

②式よりIs[A]は

Is=Vm2/Zs=Z1s*Is/Zs・・・③

になります。

④遮へい線がある場合の通信線に生じる誘導電圧Vm

③式より、Vmは

Vm=Vm1-Z2s*Is=(Z12-Z2s*Z1s/Zs)Ig[V]・・・④

になります。

④式において、通信線への誘導電圧Vmを小さくなるようするためには、

遮へい線-通信線間のZ2sを大きくする⇒遮へい線を通信線に近づける。

遮へい線のインピーダンスZsを小さくする⇒遮へい線の導電率を高くする。

ということが④式からわかります。

本日はここまでです。毎度ありがとうございます。