機械

3相ブリッジ整流回路の負荷にかかる電圧波形の書き方と通電状態を確認しましょう(機械)

ノリユキ
ノリユキ
いらっしゃーい。第3種電気主任技術者(機械)のなぜなぜシリーズはじめまーす。

整流回路の中でも3相になってくると、どの素子が通電状態になっていているのか訳がわからなくなってくるのは私だけではないと思います。。

今回は3相ブリッジ整流回路の負荷にかかる電圧波形の書き方と通電状態について確認していきたいと思います。

ここをしっかり抑えておけば、素子の電圧、電流特性などの問題も解けるでしょう。

それでは、いってみましょう。

3相全波整流回路

このような回路になります。

D1,D2,D3,D4,D5,D6:ダイオード

今回は簡単のため、素子をダイオードにしました。

電源側の波形の書き方

これは3相半波整流回路で使用した波形です。

その波形の書き方はこちらから

3相半波整流回路の電源側の波形の書き方と通電状態を確認しましょう(機械) 整流回路の中でも3相になってくると、どの素子が通電状態になっていているのか訳がわからなくなってくるのは私だけではないと思います。...

各波形の位相は2π/3ずれています。

これを使って回路の導通状況を確認します。

波形と回路をみながら素子の導通状態を確認

図の赤線部分をスタートとして、ダイオードがどのように導通していくのか見ていきます。

ここで抑えておかなければならないのは、

負荷にかかる電圧は3相電源の線間電圧になる

線間電圧はこんな感じで求めることができました。

e12=e1-e2,   e13=e1-e3,

e23=e2-e3,   e21=e2-e1,

e31=e3-e1,   e32=e3-e2

つまり相電圧同士の引き算をしたものが線間電圧となります。

相電圧の中でe1が一番大きいときの導通状態

先ほどの電源の波形をもう少し拡大します。点線部分においてどの線間電圧が高くなるのか考えていきましょう。

 

赤と青の点線間(π/6<θ<5π/6)の相電圧の中で一番大きいのはe1です。

赤点線と緑点線の間(π/6<θ<π/2)において、e1にどの相電圧を引いたら線間電圧が最大になるかを考えます

その波形は赤い線つまりe2ということになります。

π/6<θ<π/2の間はe1-e2=e12の線間電圧が最大ということになります。

e12の波形は図のようになります。見やすいように相電圧と線間電圧の波形を同一軸上に示しました。

線間電圧e12が負荷にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D1,D4が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e12になっていることがわかります。

次に緑点線と青点線の間(π/2<θ<5π/6)において、e1にどの相電圧を引いたら線間電圧が最大になるかを考えます

その波形は緑線つまりe3ということになります。

π/2<θ<5π/6の間はe1-e3=e13の線間電圧が最大ということになります。

e13の波形は図のようになります。見やすいように相電圧と線間電圧の波形を同一軸上に示しました。

この波形はe12の波形と同じ形です。他の区間でも同じ形になります。

線間電圧e13が負荷にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D1,D6が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e13になっていることがわかります。

相電圧の中でe2が一番大きいときの導通状態

先ほどと同じようにやっていきます。

 

赤と青の点線間(5π/6<θ<3π/2)の相電圧の中で一番大きいのはe2です

5π/6<θ<7π/6の間はe2-e3=e23の線間電圧が最大ということになります。

線間電圧e23が負荷にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D3,D6が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e23になっていることがわかります。

次に緑点線と青点線の間(7π/6<θ<3π/2)間はe2-e1=e21の線間電圧が最大ということになります。

線間電圧e21が素子にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D3,D2が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e21になっていることがわかります。

相電圧の中でe3が一番大きいときの導通状態

同じようにやっていきます。

 

赤と青の点線間(2π/3<θ<13π/6)の相電圧の中で一番大きいのはe3です。

赤点線と緑点線の間(3π/2<θ<11π/6)はe3-e1=e31の線間電圧が最大ということになります。

線間電圧e31が素子にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D5,D2が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e31になっていることがわかります。

次に緑点線と青点線の間(11π/6<θ<13π/6)はe3-e2=e32の線間電圧が最大ということになります。

線間電圧e32が素子にかかっている状態のときの回路の導通状況は図のようになります。

D5,D4が導通状態になっていることがわかります。

また、vd=e32になっていることがわかります。

相電圧と線間電圧と導通素子を一緒に見てみる

最後にこれらのデータを比較のために一緒に出してみました。

こうして見てみると、素子の導通期間は2π/3であることがわかります。

どうでしたか?

一つずつ現象を押さえていけば、負荷にかかる電圧波形をかくことができる!と思っていただけると私はうれしいです。

本日はここまでです、毎度ありがとうございます。