前回の記事では3相ブリッジ整流回路の負荷にかかる電圧波形と導通状態について書きました。
今回は素子としてダイオードを使い、負荷を抵抗、コイルにしたときの電流波形について考えていきます。
それでは、行ってみましょう。
3相全波整流回路と負荷にかかる電圧
回路図はこちらになります。前回の記事の図をそのまま持ってきました。
e1,e2,e3[V]:各種相電圧,vd[V]:負荷電圧
負荷にかかる電圧波形はこちらになります。こちらも前回の記事のものになります。
上の黒い波形(線間電圧)が負荷にかかる電圧になります。
この波形は相電圧を基準にかいた波形です。ちょっとわかりにくいのでθを線間電圧基準に合わせて書き直します。
θを線間電圧基準に合わせて負荷にかかる電圧波形を書く
一つの線間電圧波形をこのように書きます。これをe12の波形とします。
次の波形はπ/3ずらして書きます。これを5回かいた波形が図になります。
線間電圧を基準に波形を書いたため、e12の開始がθ=π/3からスタートになります。
線間電圧の波形をπ/3ずらしてかきましたが、負荷にかかる電圧の部分は下図の赤枠でくくった部分です。
山と山が切り替わる部分になります。念の為のご連絡でした。
3相全波整流回路については、このようにして負荷にかかる電圧波形を書きます。
素子がサイリスタになる場合は赤枠の部分のみとは限らなくなります。その件については別の記事に記載します。
負荷が抵抗のとき
回路図のようになります。
抵抗の場合、電流と電圧の位相は同じです。
よって導通状態は前回の記事で記載したときと同様になります。
e12が負荷にかかる時⇒D1,D4導通
e13が負荷にかかる時⇒D1,D6導通
e23が負荷にかかる時⇒D3,D6導通
e21が負荷にかかる時⇒D3,D2導通
e31が負荷にかかる時⇒D5,D2導通
e32が負荷にかかる時⇒D5,D4導通
詳細はこちらから。
これらの結果から,素子に加わる電流特性はこのようになります。
負荷がコイルのとき
回路図のようになります。
負荷がコイルの場合、電流は電圧に対してπ/2位相が遅れます。
それでは3相全波整流回路に接続された負荷の電流、電圧特性を考えていきます。
最初は図のように線間電圧e12に注目して電流を考えていきましょう。
e12が負荷にかかる期間はπ/3<θ<2π/3の時になります。
前回の記事からD1,D4が導通します。ed=e12となります。
π/3<θ<π/2のときは、電流は電圧よりπ/2位相が遅れているため、電流がマイナスです。これを図示するとこんな感じです。
ダイオードD1,D4からみてこの電流は逆方向であるため、回路に電流を流すことができません。
π/2<θ<2π/3の期間は、電流はプラスです。
回路に示すとこんな感じです。ダイオードに電流が流れます。
π/3<θ<2π/3時の電流波形はこのようになります。
e13,e23,e21,e31,e32についても同様に考えます。
その結果,素子に加わる電流特性はこのようになります。
しかし、コイルの性質から電流波形は下図のようになります。
このようになる理由についてはこの記事を参照ください。
今回でダイオードを用いた波形はおしまいになります。
本日はここまでです、毎度ありがとうございます。