理論

コンデンサの静電エネルギーはなぜ”1/2″CV^2なのか?(理論)

ノリユキ
ノリユキ
いらっしゃーい。第3種電気主任技術者(理論)なぜなぜシリーズはじめまーす。

コンデンサに蓄えられる静電エネルギーW[J]は

$$ W=CV^2/2 $$

と参考書などでは書かれています。

1/2ってどこから出てきたの!?”と思われた方は私以外にもいると思います。

参考書に理由を記載しているものを見ますが、私はあの説明に納得していません。

今回は、私が調べた中で一番納得できた理由を記事にしました。

それでは、いってみましょう。

最初に抑えておかなければならないこと

ここで抑えておかなければならないことは、

電圧を加えた時点ではコンデンサには電荷がたまっていない

つまり、コンデンサの場合は時間により電荷が変化します。

ある時間が経過して電荷Q[C]がコンデンサに貯まります。

負荷回路が抵抗R[Ω]のみの場合、電圧V[V]を加えた瞬間に電流I[A]流れます。

この電流は時間が経過してもI[A]で一定です。

よって、抵抗で消費する電力はV*I=RI^2となります。

コンデンサに貯まる電荷が時間の経過によって変化するため、

単純に静電エネルギー(W)=Q*V=CV^2とはならないのです。

静電エネルギーを求めるためには、コンデンサに電荷を蓄えていく様子を見ていく必要があります。

考え方

回路図です。

電荷Q[C]をn当分した微小電荷q[C]を一個ずつコンデンサに蓄えていくことを考えます。

q=Q/nになります。

静電エネルギーを求めるためには

①,電界を求める

②,微小電荷q[C]が移動するときに電界からうける力を求める

③,微小電荷q[C]が電界からの力に逆らってd[m]移動したときに、外部からうけるエネルギーを求める

④,①~③をn回繰り返し、③をn回足し合わせたtotalエネルギーを求める

という流れになります。

まず微小電荷q[C]をコンデンサのプラス極に移動させる場合を考えます。図のような状況です。

この時はコンデンサの+極に電荷がないため、電界E1は

$$ E1=0[V/m] $$

です。電界からうけるクーロン力FはF=q*Eとなるので、F1は

$$ F1=q*0=0[N] $$

外部からうけるエネルギーWはW=F*dとなるので、W1は

$$ W1=0*d=0[J] $$

になります。

次に2個目のqをコンデンサに蓄える場合を考えます。図のようになります。

この時はコンデンサの+極にpの電荷が1個あるため、電界E2は

$$ E2=q/εS $$

平行板コンデンサ容量C=εS/dの理由(理論) 平行板コンデンサの容量C[F]は $$ C=εS/d $$ ε:誘電率,S:極板面積[m^2],d[m]:極板間距離...

この電界からうけるクーロン力F2は

$$ F2=q*E2=q^2/εS $$

外部からうけるエネルギーW2は

$$ W2=F2*d=q^2d/εS $$

その次に3個目のqをコンデンサに蓄える場合を考えます。図のようになります。

この時はコンデンサの+極にpの電荷が2個あるため、電界E3は

$$ E3=2q/εS $$

この電界からうけるクーロン力F3は

$$ F3=q*E3=2q^2/εS $$

外部からうけるエネルギーW3は

$$ W3=F3*d=2q^2d/εS $$

続いて4個目のqをコンデンサに蓄える場合を考えます。図のようになります。

この時はコンデンサの+極にpの電荷が3個あるため、電界E4は

$$ E4=3q/εS $$

この電界からうけるクーロン力F4は

$$ F4=q*E4=3q^2/εS $$

外部からうけるエネルギーW4は

$$ W4=F4*d=3q^2d/εS $$

法則性が見えてきましたね。

N個目の微小電荷については図を見てください、n-1個の微小電荷がプラス極にあります。

外部から受けるエネルギーWnは

$$ Wn=(n-1)q^2d/εS $$

それではW1,W2,W3,・・・,Wnを全て足し合わせてtotalのエネルギーWを求めます。

$$ W=W1+W2+・・+Wn=0+q^2d/εS+2q^2d/εS+・・+(n-1)q^2d/εS $$

$$ W=q^2*d/εS*{0+1+2+・・・+(n-1)}=q^2d(n-1)n/2εS $$

注:1+2+・・+(n-1)=(n-1)n/2になります。高校の数学で習います。

Q=nqと決めたのでこの式に代入します。またC=εS/dなので、

$$ W=(nq)^2d(1-1/n)/2εS =Q^2(1-1/n)/2C $$

n→∞にすると1/n→0になること、またQ=CVより、

$$ W=Q^2/2C=CV^2/2[J] $$

となり、コンデンサに蓄えられる静電エネルギーを求めることができました。

本日はここまでです、毎度ありがとうございます。