誘導電動機の速度制御方法の一つとして電圧/周波数(V/f)一定制御というのがあります。
V/fを一定にするように1次電圧、1次周波数を調整することで磁束(Φ=V/ω)を一定にすることができます。(ω=2πf)
しかし、V/fを一定にすることで、最大トルクをほぼ一定にすることができるというのはイマイチわかりません。
今回は回路を使って、最大トルクを求めます。最大トルクの導出は微分の知識が必要です。
導出過程を飛ばして、最大トルクの計算結果を知りたい方は下の記事に飛んでください。

V/fを一定にコントロールしたら最大トルクはほぼ一定になるのか見ていきましょう。
それでは、いってみましょう。
回路
このような回路で考えていきます。励磁回路は無視しています。

r1,x1[Ω]:1次側の抵抗とリアクタンス。r2,x2[Ω]:1次側に換算した抵抗とリアクタンス。
E[V]:1次側相電圧。s:滑り
最大トルクを求める
1次側電流Iの大きさは
$$I=\frac{E}{\sqrt{(r1+r2/s)^2+(x1+x2)^2}}$$
出力Pm[W]は
Pm=3(1-s)r2*I^2/s
Pm=3(1-s)r2E^2/{s((r1+r2/s)^2+(x1+x2)^2))}
になります。
トルクT[N*m]=Pm/ωより(ω0=(1-s)ω,ω0[rad/s]:同期速度のときの角速度)
Ns,N[min-1]:同期速度、回転速度。p:極数。
T=Pm/ω=3*r2*E^2/{ω0*s((r1+r2/s)^2+(x1+x2)^2))}・・・①
ここで分母のs((r1+r2/s)^2+(x1+x2)^2))に注目します。
これをsの関数と考えて
f(s)={r1^2+(x1+x2)^2}s+2r1*r2+r2^2/s
とおきます。ここでf(s)を微分するとf'(s)は
f'(s)={r1^2+(x1+x2)^2}-r2^2/s^2
f'(s)=0とおくと、その時のsをsmとすれば
$$sm=\frac{r2}{\sqrt{(r1)^2+(x1+x2)^2}}・・・②$$
になります。
f(s)のグラフはこのような形になります。

申し訳ございません。この説明については省略させてください。
以上より、s=smのときf(s)が最小となることがわかりました。
f(s)が最小のとき、トルクは最大となるので、①式に②式を代入すると最大トルクTmは
Tm=3*E^2/(2*ω0)/{r1+√{(r1)^2+(x1+x2)^2}}・・・③
となります。
最大トルク結果
③式のr1を無視すると
Tm=3E^2/{(2ω0)(x1+x2)}・・・④
w0∝f,(x1+x2)∝fより(∝:比例)
最大トルクTmは周波数の2乗に反比例し、電圧の2乗に比例することがわかります。
以上より、V/fが一定になるようにコントロールすれば最大トルクはほぼ一定となります。
ほぼ一定というのは③式導出時に無視したr1の影響があるためです。
本日はここまでです。毎度ありがとうございました。