前回はサイリスタを使った単相ブリッジ整流回路の抵抗負荷にかかる電圧、電流について記事をかきました。
今回は誘導負荷になります。周期は0<θ<2π+2/πまでにさせてください。
その理由はサイリスタの初期状態にあります。これは最後にわかると思います。
それでは、いってみましょう。
単相ブリッジ整流回路(誘導負荷)
回路図はこのようになります。
v[V]:電源の印加電圧,vd[V]:出力電圧,I[A]:電流
サイリスタがないときの電源の電流、電圧波形はこのようになります。
負荷が誘導負荷なので電流は電圧に対してπ/2位相が遅れます。
この理由についてはこちらから
1周期+π/2の間に各サイリスタがどのように動作するのかおさえていきます。
サイリスタがonする条件は、上記の電流、電圧波形より
電圧>0かつ電流>0のとき(th1,th4)、
電圧<0かつ電流<0(th2,th3)[th2,th3からみたらこの電圧、電流のときが順方向になります]
のときにサイリスタに信号を与えるときです。
サイリスタth1,th4に与える信号αを3π/4[rad]
サイリスタth2,th3に与える信号αを(π+3π/4)[rad]
としたときの負荷にかかる電流、電圧波形をみていきましょう。
電源電圧の周期が0<θ<πのとき
初期状態(θ=0)としてth1,2,3,4ともにoffとします。
0<θ<π/2の場合から考えます。
このときの電源電圧はプラスですが電流がマイナスであるため、サイリスタth1,th4にゲート信号を与えても動作できません。
よって、負荷に電流、電圧がかかりません。
次にπ/2<θ<3π/4の場合です。
この期間で電流がプラスになります。しかしサイリスタth1,th4にゲート信号が入るのがθ=3π/4のためサイリスタはoffのままです。
よって負荷に電流、電圧がかかりません。
次に3/4π<θ<πのときです。
電源の電流、電圧はともにプラスです。
α=3π/4のゲート信号がサイリスタに入るため、th1,th4がonします。
回路図でこの状態をみてみましょう。
電源電圧の周期がπ<θ<2πのとき
周期がπ<θ<3π/2の場合から考えます。
電源の電圧、電流波形より、電圧はマイナスですが、電流がプラスです。
電流がプラスであるため、th1,th4がonのままです。
これを回路図で示します。
電源電圧のマイナス側が負荷電圧になることがわかります。
次に3π/2<θ<(π+3π/4)のときです。
θ=3π/2のときに電源の電流波形が0となるため、th1,th4がoffになります。
それ以降は電源電圧、電流がともにマイナスになるため、th2,th3が動作候補になります。
しかし、ゲートに信号が入るのが(π+3π/4)のときなのでth2,th3はoffのままです。
よって負荷に電流、電圧はかかりません。
次に(π+3π/4)<θ<2πのときです。電源の電圧、電流はマイナスです。th2,th3が動作候補になります。
θ=(π+3π/4)のときにサイリスタにゲート信号がはいるため、th2,th3がonします。
回路図に電圧と電流の方向を示します。
2π<θ<(2π+π/2)のとき
このときの電源の電圧はプラスですが電流がマイナスです。
電源電流がマイナスなのでth2,th3はon状態のままです。
この状態を回路図で見てみるとこのようになります。
この回路図からvdは電源電圧のマイナスが出てきます。負荷電流はプラスです。
θ=2π+π/2のときに電源の電流が0になり、th2、th3がoffになります。
0<θ<2π+π/2の間の負荷の電流、電圧波形はこのようになります。
このあとの状態は上の波形をみたらある程度推測できると思います。このようになります。
最初だけ波形が変なのは初期状態(θ=0)のとき、th1,th2,th3,th4をoffとしているからです。
θ=0のときにth2,th3:onにしたらこのような波形になります。
しかし、コイルの性質から電流波形は下図のようになります。
このようになる理由についてはこの記事を参照ください。
本日はここまでです、毎度ありがとうございます。